動的曲り/ストレス計算

DynaRodユーザーガイド 始めに DynaRod使用法 トラブル・シューティング 目次

上へ キャスティング設定 シミュレーション計算 各種グラフ キャスティング動画

動的計算

DynaRodはその名の通り、すべての計算をDynamic(動的)に行います。  静止ロッド(静止しているロッド)モデルに動的計算があるのか?という問いに関しては、YESです。
ロッドの先端に錘(おもり)をぶら下げた場合を想定してください。  ロッドは次第に曲がっていき、あるところでバランスします。  この間のロッドの角度の計算を動的に行います。  「動的に計算する」、というのは、一瞬前の曲がったロッドの状態を前提に計算し一瞬後のロッドの曲りを計算する。  これをロッドがバランス状態になるまで続けるという意味です。

動的ロッド(動いているロッド)の曲りの場合は、ロッド自体が動いていることが前提となります。  つまり、ロッドが一定時間内に、一定の距離を、一定の方向に動いた場合に、ロッドが受ける負荷を計算し、結果としての曲り、ストレス値などを、やはり動的に計算します。   では、どうやって動きを表現、把握するのか、というと、ユーザーはDynaRodを使ってキャスティングの動きを設計することができます。   キャスティングの動きを設計できれば、自然とロッドの動き(方向、距離、時間)が計算できることになります。  距離と時間がわかれば、加速度が計算できるわけです。

動くロッド

動いているロッドは次のように計算します。

下の左図には、右から左に向かって角度を変えながら移動するロッドの3つの時点の状態が図示されています。 理解しやすくするため、ロッドは曲がっていません。 ロッドが曲がるのは結果であり、今考えようとしているのは、ロッドが曲がる原因の方だからです。

動いているロッドの、Tip先端を例にとります。 Tip先端は、まず、移動時間1で、a の方向に a の距離だけ動き、次に移動時間2で、b の方向に bの距離だけ動きます。 a、bはそれぞれ一定時間内での移動ですから、距離、速度、方向の概念が成り立ちます。 加速度が計算できます。 加速度は、方向を持つベクトルですから、c=a+b が成り立ちます。 右図のように、ベクトルは、平行四辺形の法則によって、合成あるいは、分解できるわけです。

DynaRodでは、キャスティング設定の画面で、ロッドの移動方向(上下左右)、傾き(回転)、時間を設定することによって、ロッドの動きを作り出すことが可能です。

 

 

DynaRodは、設定されたロッドの動きに基づき、ロッドの全部品の移動方向、移動距離、移動時間、を元にして加速度、慣性力、モーメント、曲り、ストレスの計算を実行します。

慣性(力)の方向

DynaRodの動的計算では、慣性(力)の働く方向に関しても把握しています。 下の図をご覧ください。

左の図は、ロッドが回転しながら下に動かされた例を示しています。この場合、TipTopは、a の方向に慣性(力)を受けますが、Butt部では b の方向に慣性(力)を受けます。 ロッドが動くといっても、慣性(力)の方向と大きさはすべての部品について異なります。

右の図は、ロッドがフライラインを左方向にキャストしようとしています。 この例では、フライラインは水平方向に右方向にまだ動いていることを仮定しています。 一方、ロッドは下から上に向かって回転しています。 この例では、TipTopは複雑な方向に慣性(力)を受けることになります。 フライラインは右方向への慣性(力)を発生させ、トップガイドとロッドブランクの先端、フェルールは、右下方向への慣性(力)を発生させます。 DynaRodはこれらのすべての慣性(力)の方向を把握して計算しています。 

 

この機能を使う場合は、ユーザーは、まず、キャスティング設定画面でキャスティングスタイルを設定する必要があります。 後の詳細はDynaRodが計算します。

もう一つの重要な要素は、重力加速度を考慮に入れることです。 重力加速度は、上記の加速度が働いている間にも常に下方向への加速度をもたらしています。  DynaRodは、上記加速度に加えて、重力加速度を考慮して計算を行っています。  たとえば、G=1を指定して、水平方向に保持したロッドの場合でも、ロッドは曲がっていることでこのことが分かります。

以上

(c) Copyright 2006 Max Satoh All rights reserved.